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黒田潔 山上展覧会のお知らせ「森の音、風の音。」

「六甲山に滞在したことは、その後の自分の制作にとってとても大きな影響を与えたと思います」。以前にROKKONOMADに2週間滞在して、そして今回展覧会を行うため再び山上に来てくださる黒田潔さんにインタビューしました。展覧会は、2022年10月8日〜16日です!

森で感覚が研ぎ澄まされる

「森の音、風の音」 2022年 案内状

今年の1月、ROKKONOMADに滞在したイラストレーターの黒田潔さんが、その時の体験を元に制作した作品を携えて展覧会を山上で行ってくれることになりました。

タイトルは「森の音、風の音」。黒田さんは滞在中、同じ道を何回も散歩したそうです。そして歩く度に観察をし、その都度違う発見と出会いました。また歩きながら落ち葉などを拾ったことがその後作品をつくっていく上での大きなヒントになったと言います。

今回のDMに使われたイラストレーション(上図版)にも落ち葉が描かれています。落ち葉は地面に落ちているようにも見え、しかし、上から降ってきているようにも感じられます。また、この絵を描きながら黒田さんは、落ち葉を踏んでいる音を思い出したと話してくれました、「視覚だけではなく、聴覚だったり、いろんな感覚から呼び起こされるインスピレーションが六甲山にはありました。だから今回の展覧会のタイトルを『森の音、風の音』としました」。

「森の音、風の音」 2022年 水彩紙にアクリル絵具、落ち葉

1月に滞在した際、もうひとつ鮮明に黒田さんの記憶に焼き付いたのは冬の植物たちから感じた“変化”だったと振り返ってくれました。「散歩をしていても本当に寒かったのですが(笑)、植物も雪にすっぽり覆われていたりして、一見するとそこに生命があるとは気づきづらかった。けれどよく観察すると、実は枯れているようで、トゲトゲした形に体を守ろうとしている強い生命感が表れていたり、冬を越えたその先の春にどう自分を変化させるかを想定しながら準備している様子がつぼみの形状から感じられたり。逆にとてもダイナミックでした」

「そこに行って見る」ことの大切さ

「普段僕は東京に住んでいるのですが、こういう場所に行こうと思ったのは、僕自身も、作品も、変化や成長を望んでいるからです。どうしても日々同じ空間で制作していると、新しい要素を見つけたり、これまで持ってこなかった視点や考え方に出会えたりということはなかなかない。

それにインターネットを通じて映像にどれだけ触れても常にそこには限界があるとも感じます。花ひとつを取っても写真では一定方向からしか見ることができない。けれど今回の六甲山での体験のように、その場所に行けば、裏側から見るとどういう姿をしているか、下から眺めるとどう目に映るのか。枯れているんじゃなくて、これから咲くための準備のかたちなんだとか。そういう気づきは映像では得られない」

今年1月、ROKKONOMADに滞在された期間中には黒田潔さんと、ご友人でもある画家の松本尚さんと、おふたりに話を聞くインスタライブも行いました。【アーカイブ動画はこちらからご覧になれます】

「直接見るからこそ新しい発見が得られるし、自分の身体と自分から生まれる絵は密接に関係しているとも思う。だから僕は『そこに行って見る』ということを常に大切にしたいし、それが自分自身を変え、絵を描く上での刺激を得る最良の行為だと確信しています」

インタビューの最後に、今回の展覧会に向けて来場者の方々へのメッセージをいただきました。

「この場所は、会場から一歩外に出れば森が広がっています。森をずっと歩いてきて展覧会場に着いて作品を観たときに、どんな音を想像するのか。そんな連想を楽しんでもらえたら嬉しいです。会期中はだいたい会場に居るようにするので、よかったら感想を聞かせてください」

黒田潔さんの在廊予定 10/8(土)、9(日)、10(祝)、15(土)、16(日)

*平日は大学の仕事があるので出かけているときもあるが、基本的には在廊予定とのことです(最新の在廊情報は、黒田潔さんのInstagramに掲載されます)

「森の音、風の音」 2022年 木パネルにアクリル絵具

予定されている展示作品/展覧会情報

木目が見える木のパネルをキャンバス代わりにして描いた作品、
どんぐりや落ち葉などモチーフのかたちにカットアウトした作品、
B4サイズのシルクスクリーンの作品など、
全体で20点くらいの作品が展示される予定です。

黒田潔展「森の音、風の音。」
日時:2022年10月8日(土)~16日(日)
10:00~17:00 入場無料 予約不要
場所:ROKKONOMAD

黒田潔プロフィール
1975年東京都生まれ。2001多摩美術大学大学院美術研究科グラフィックデザイン専攻修了。2003年よりイラストレーター / アートディレクターとして広告や雑誌のアートワークを手掛ける。2005年 新宿サザンビートプロジェクトのウォールグラフィックでグッドデザイン賞受賞。2010年 東京都現代美術館「MOTアニュアル2010:装飾」に参加。TIS会員、大阪成蹊大学客員教授。作品集として『森へ』(2010年、ピエ・ブックス)、『Water』(2015年、POST)をこれまでに出版。
http://www.kiyoshikuroda.jp/