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仕事の合間に六甲山上で自転車ちょい乗りのススメ
思い立って、自転車で六甲山をひとっ走りしてきました。ずっと同じ空間で作業をしていると煮詰まるし、作業効率だって落ちるからです。そしてROKKONOMADがいいのは、言うまでもなくオフィスを一歩出ればすぐ六甲山の森が広がっているところ。気分転換できる自然環境を欲しても、そこに行くまでに時間や手間がかかってしまうと、結局のところ効果的に頭を切り替えられないことになりかねない。(そもそも神戸は山に行くにも海に行くにも30~40分くらいで出かけられるという点が長所です)
ROKKONOMADの会員の中には、ポートアイランドにある自宅から自転車で出発して、山上のこのシェアオフィスまでペダルを踏んで上がってくるというツワモノもいたりします。ただ、表六甲ドライブウェイ(神戸市灘区鶴甲から六甲山上に上る道路。2002年までは有料道路だった)は正直なかなかの勾配角度の坂が続くため、よほど慣れた人でないとおすすめしません。それと、トライしてみたいという方も土日は自動車もそこそこ走っていますから、平日がおすすめです。
ただ、神戸市北区鈴蘭台の有馬街道の方から神戸市立森林植物園の横を通って山を上がってくる、県道16号明石神戸宝塚線(西六甲ドライブウェイ)のコースを選べば角度のきつい坂が延々と続くわけではないので、本気の自転車乗りでなくても十分に可能です。実際、今回は有馬街道沿いのスーパー銭湯「すずらんの湯」跡辺りから登坂して、森林植物園に立ち寄るコースで走りました。植物園まで20分くらいで、最初10分程はちょっと坂がしんどいですが、植物園手前の五辻交差点辺りから緩やかになり、森林植物園を越えると後は軽いアップダウン。後はひたすら風を切ってスイーッと走らせることができます。
神戸という街は、自然と付き合うときにその人のレベルや気分に合わせて、いろんな選択をさせてもらえるところが良いと思っています。本気でヒルクライムしたい人は表六甲ドライブウェイを選んで下から自転車で上がってくることができる。それはちょっとハードルが高すぎる……という人なら、自転車を車の荷室に積み込んで出発、山上を起点にして自転車で走り回ってもいい。マイカーが無いなら、自転車を輪行袋に入れて六甲ケーブルに乗り、山上で車輪をはめて走るという選択肢もあります。前述の通り、山上に来てしまえば後は楽チン。
何より、山を颯爽と走っていると、人工の光や音、風から離れられるのが良いです。LEDのフラットな光とか、スマートフォンのコール/アラート音とか、エアーコンディショナーの単調な送風などを忘れて、木の葉っぱが風に擦れて立てる複雑なサウンドや、樹木にあたってきらめく太陽光が自分を包みます。自然の光や音、風は癒しというような言葉でまとめられるような単純なものでなく、とても複雑度が高い形態の数々と感じられ、だからこそ脳に刺激があるのでは。むしろ人工物の方がフラットで単調。
新型コロナウィルスの登場に伴って分散型ワークプレイスの実践が一気に進んだのと合わせて、ワーケーション(=ワークとバケーションを組み合わせること)をすると仕事がはかどるという記事を目にする機会が増えましたが、その効能はどこから来るのでしょう。都市から自然へ「移動」することで、日常のタイムラインから距離を置くことができて、事業をより落ち着いて俯瞰することができるからか? 現代科学の潮流のひとつ「複雑系」で語られるところの、自然界の持つ複雑性が人間の五感を大いに刺激してくれるからなのか。自然の中にいると、ストレスホルモンとも呼ばれるコルチゾール値が下がり副交感神経が活性化するという科学の論説を読んだことがあるけど、そういうことも関係している? ちなみに頭の活性化の話ではないけれど、森の樹木が発散する芳香性揮発物質フィットンチッドが、がんやウィルス感染細胞を退治してくれるNK細胞を活性化させ免疫力を高めてくれるというレポートも何かで読みました。どれも読みかじりですが、人間はこれからの時代、より人工化が進めば進むほど、それと比例して、自然の中に行って自分を再活性化させる必然性も増していくのではないでしょうか。
まあ、そこまで理屈っぽい話でなくても、単に日中座りっぱなしのオフィスワーカーだったら、登坂で自転車を漕ぐと、ガチガチに固まった臀部・骨盤周り・腿うらの筋肉がしっかり伸ばされていくのを実感できるでしょうし、血流の悪さも改善されるはずです(笑)
スマートフォンが発達したおかげで、大体どこにいても連絡は付くようになりました。ということは、クライアントや部下、仕事のパートナーからメールなり電話なり用事の連絡が入っていても、いざとなればどこにいても返信できる環境を手にしたという言い方もできます。
会議中は大体返信はできなくなるわけですから、それと同じくらいの時間の長さ、すなわち1~2時間程度は自転車で走りに行っても、サーフィンをしていても、ロッククライミングをしても、その後すぐ返事を返せば業務上支障はそんなに起きないということではないでしょうか。
であれば、回復して活性化するという建設的な動機に基づいて、ちょっと自転車で走りませんか。
走っている間に、良いフレーズが思いついたり、次の企画で悩んでいた部分が急に解決できたり、そういうことってきっとあると思うのです。
(コラム執筆=安田洋平)