ロコノマドからのお知らせやコラムを紹介しています。
シリーズ山と仕事 Vol.2 小柳 岳さん 「神戸の魅力を感じ、地元新潟を見つめる」
ROKKONOMADに滞在してくれた方とのやり取りから、これからの「山と仕事」のあり方について考えていくシリーズ、その第2弾をお送りします!
シリーズ 山と仕事 Vol.1 RYOさん(デジタルプロダクト・デザイナー)はこちら
2020年4月、コロナ禍のもとで発出された一回目の緊急事態宣言。故郷の状況のことが気になりつつも、現在は東京で暮らしているのですぐに戻ることはできない。そんな中、今いる場所から地元との関わり方をつくっていきたいと20-30代の在京新潟出身者の集まりによって立ち上げられたオンラインコミュニティ「Flags Niigata(フラッグスニイガタ)」。そのコアメンバーのひとりである小柳 岳(おやなぎ・がく)さんがROKKONOMADに滞在してくれたので話を伺いました。
――まず、小柳さんのお仕事について伺わせてください。
現在は株式会社エウレカで恋愛・婚活マッチングアプリPairsのデザインをしております。それ以外にも個人で複数のプロダクトのデザインをしています。UI(ユーザー・インターフェイス)を一から考え設計・運用する仕事を、5年近く行っていました。直近1年では、コミュニティデザインも行ってみています。「上手に東京を離れよう。上手に新潟に近づこう。」というメッセージを掲げ、新潟に想いのある方が集い様々なプロジェクトが生まれています。僕は立ち上げから参加し、ロゴデザインやサイトデザインもしました。15人ほどの仲間と立ち上げたのがきっかけで、今は地元新潟と東京と行き来しながら、魅力があるまちづくりに関わる事業がしたいと考え模索しているところです。
――ROKKONOMADに来ようと思ったきっかけは何だったんですか?
本格的に新潟に戻るという決断もしようとしていて、いろいろ新しい挑戦に踏み出そうとしているタイミングで悩んでいて、以前から親しかった友人のRYOに相談してみようと思ってビデオチャットしたんです。そうしたら彼の映っている画面の背景に、気持ち良さそうな山の景色が見えて。「一体どこにいるの??」と。それがきっかけです(笑)
彼と話していて、ここに来たら面白い人とつながったり、次につながるインスピレーションも得られるのではないかと感じ、急遽レジデンスプログラムに応募したんです。
――Flags Niigataはとても興味深いプロジェクトですが、そのメンバーは立ち上げ半年で650人を超えたとか。どのように皆さんは知り合ったのですか?
中心メンバーは20歳過ぎの頃、東京で新潟出身者同士つながって知り合いになりました。お互い新潟から東京に出てきて頑張っていて、なおかつ、いつかは新潟で仕事がしたいとか、地元に貢献したいと考えている点で通じ合っている仲間です。同世代ということで互いの頑張りが励みや刺激にもなっています。
だからコロナで地元に帰れなかったり、地元の知人やお店が困っている状況を見て、リモートで話し合い、そしてスピード感を伴ってプラットフォーム「Flags Niigata」を立ち上げたのです。
――皆さんどんな仕事をしている方たちなのですか?
広告代理店に勤務している者、僕のようにITの分野で企画・デザインの開発をしている者、マーケティング会社勤務、デザインコンサルタント、インターネットTV局の企画営業、保育士、日本酒店勤務、写真家などさまざまです。新潟の山奥で百姓をしている人もいます。
新潟出身者以外に、他県の出身で最近移住した人などもいます。新潟に拠りどころをつくりたいという意識があって、かつ20-30代ということが参加条件です。
――今回ROKKONOMADに滞在したことはプラスになりましたか?
ええ。山の上に来てこんなにも多様な人と出会えるとは驚きですね。先程お話した通り、私はもともとITのUIデザインを生業としてきたのですが、これからは地域の人材や空き家をつなげていくという、新しいテーマについて取り組んでいくことになります。ここには参考になるヒントをくれたり意見交換できる人がいて、地域は違っても抱えている社会課題は共通するものがあるんだな、と。「類は友を呼ぶ」ではないけれど、人は引き合うのかなと思いました。でも、この場所を知らない人からしたら、そんな出会いが山の上で起きているとは想像がつかないと思います。
――六甲山から降りて神戸の街なども探索されたりしましたか?
参考にしたいと思って、水道筋商店街などを見て回りましたが、なぜこんなにお店の数が多くて賑わっているのか。自分なりに研究して新潟で活かしたいと刺激を受けました。
――自分の地元をデザインすることを考えている岳さんが、神戸に来ることでプラスの刺激を得られる面もあるのですね。
新潟の人と話すことで見えてくる新潟へのソリューションというものは当然あるわけですが、一方でそこの解像度でしか考えられなくなる場合もあると思っています。別の地域だけど同じような問題意識を持った人と会って話すと、お互いのアイデアや経験値を参照することができるし、視野も広がって、以前には思いつけなかった解を導け出せたりと、新たなシナジーを生み出せるのではという気がします。
――ここでの出会いがきっかけで新しい関係が始まると嬉しいです。
実際、Flags Niigataの代表と二人で一緒に来ようかという話もしていたのですが、今回はスケジュールが合わず断念しました。しかしこの場所は5日とか1週間とか、長めに滞在してその間に大事な話を詰めるのにも良い、“選択と集中”に向いた環境だと思いましたから、チームでそういう使い方もできたらいい。一回きりでなく、また利用させてもらえたら良いですね。
――今度はぜひFlags Niigataのメンバー皆さんでいらしてください。神戸の知り合いももっと紹介して、人と地域をつなげられたら良いですし、いつか一緒に企画を作れるような機会があれば最高です!
(コラム執筆=安田洋平)