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まさか、僕らが六甲山へ!前編 〜家探しから移住まで〜

神戸に暮らして8年目、まさか六甲山に家を買うことになるなんて思いもしなかった。そもそも六甲山には、住む場所というイメージすら持っていなかったのだから。僕と家族の六甲山暮らし、そのこぼれ話です。

山の上の小学校に子どもを通わせたい

2024年の初秋、僕ら家族は来年小学生になる息子の、学校をどこにするか迷っていた。神戸市では10月頃から地域の校区の小学校の見学や入学前の健康診断、入学手続き等が始まる。息子の通っていた幼稚園は、縦割り学級による教育方針だったので年少・年中・年長が1つの組の中に混ざっていて、その中での園生活がとってもいい学びになっていた。できれば小学校もそのような環境の学校はないだろうか?と模索していたのである。

調べれば、広島や長野の方に縦割り教育を軸にした学校があるらしいことがわかった。しかし、それでは生活が大きく変わってしまう。そんなときに目にしたのが神戸市の小規模特認校制度だった。これは自然環境に恵まれ特色ある教育を推進している小規模な学校のことで複式学級の解消や学校の活性化のために、就学の条件を満たせば校区外からも通うことができる制度である。その1つが六甲山の上にある、神戸市立六甲山小学校だった。

六甲山町にある小規模特認校、学校説明会へ参加したのが9月下旬

これだ!ここなら1クラス10人程度で全校生徒は約60人。縦割りクラスではないが、必然的に学年を超えたつながりが深くなる。望んでいた学校に近い。ただ、当時住んでいた灘区の家からはバスを乗り継いで、六甲ケーブルで山に上がり、さらに山上バスで学校に着くという小学生にとっては大冒険級の通学ルートで、足に障害をもつ息子にはかなり厳しい条件だった。どうしよう・・・あきらめるか・・・いや、それならいっそ山の上に住んでしまおう!広島や長野に移住するよりは近いし、同じ灘区内だから生活圏もかわらないじゃないか!その日から六甲山での物件探しが始まった。迷ったら、面白いほうへ進むのだ。

かつてにぎわった夏の別荘地である六甲山は国立公園として保護されているので、これ以上新しい物件を建てられないため中古物件に注目

築60年の夏の別荘用マンションを買ってリノベーション

検索ワード「六甲山町」「物件」「賃貸」「戸建」毎朝の不動産情報チェックが日課になった。数社ある六甲山町を重点的に扱う不動産会社にもメールで問合せを入れた。調べると六甲山町の物件は山荘のような大きなものが多く、賃貸はなかなか出ないという。ところが奇跡的なタイミングで築60年の夏の別荘用マンションが売りに出たのである。価格も手が届く範囲、しかもよく見ると六甲山小学校から徒歩5分とかからない距離にある。迷わず内覧を申し込み、購入を急いだ。

高い木々に囲まれた森の小道抜けた先に、そのマンションは建っていた。まさかこんな良い立地にあったなんて。しかも内覧してびっくり!内装はリノベされていて、山小屋のような杉板張りの床と立て付けのベンチにはベンチ下収納まであった。階数表示は1階だが、入口が2階にあるため、実際は高さもあって森の眺めも雰囲気がある。

気になるところといえば、60年前のままのキッチンと照明とお風呂。予算も限られていて4ヶ月後には住み始めないといけない。残念ながらDIYを楽しんでいる暇はなく、大規模な改修はせずに、キッチンをスケルトンタイプのシンプルなオーダーキッチンにし、照明を調光できるレール照明に変え、お風呂はシャワーヘッドだけ交換に留めた。加えて、汚れが目立ったので壁だけ白く塗り直してもらった。

前のオーナーさんがリノベされていたが、キッチンだけは60年間から時間がとまったまま
古いキッチンを取り除いてキッチンマグネットシートを貼り、スケルトンのシンプルなシンクとコンロを入れた。
内覧時の部屋は豪華な照明があったが壁は黄ばみがあり、シミも多かった
壁を塗り直し、照明は調光できるレール照明に。もとからあった収納ベンチと相性もいい
テーブルは六甲山材の活用に取り組む事業者であるシェアウッズさんに注文し、天板をつくってもらった。マンションから3キロ圏内の山にあった木だ

すべての施工が終わったが入学式の前日!それでも山での生活は整った。実際に住み始めてみると、山と三宮の仕事場との往復も車を使うと30分程度でできる距離感で、特段困ることもなかった。仕事柄あちこちの地域へ出向くことが多いのだが、西区方面なら裏六甲ドライブウェイを下りて高速に乗り40分程度。出張で飛行機を使うときも裏六甲から45分程度で伊丹空港へ。京都方面もそのルートで行ける。大阪市内や堺市方面も表六甲ドライブウェイを下りて1時間程度。どこに向かうにしても高速に乗るまでに時間はかからず、むしろ時折見える海や夜景が気分を上げてくれる。生活の立地として充分だった。

アクセスできる道路の選択肢が増え、山を起点に東西南北への車移動が、便利になった

ただ、賃貸で住んでいた灘区の家と比較して広さが半分になってしまうので、丸ごと自宅を移すことはできなかった。全く家財が収まらない。しばらくは、学校のある平日は山の上の家に、休日や長期休暇は下の家にという、二拠点を使い分ける「逆」別荘生活になる。はずだったのだが・・・。

入学式から2ヶ月後にまた引越し、「六甲山の上」での二拠点生活が始まった

2025年4月無事に入学した息子は、幸いなことに同じマンションから六甲山小学校に通う友だちがいて毎朝待ち合わせて森の通学路を歩いていった。朝日が木漏れ日になる南向きのマンションも心地よく暮らせていた。山と街のアクセスの良さもあって、生活に必要なものは週末に下の家から持って上がればいいので二拠点でも苦にならない。気分としては、2年ぐらいをかけて山の上に広い賃貸物件を探し、物件がでてきたら下に残している家を引き払って全部を山の上にまとめようと思っていた。マンションは誰かに貸してもいいだろう。のんびりと構えていたのだった。

晴れた日は木漏れ日のトンネルをくぐって小学校へ通学

しかし、タイミングは不意にやってくる。まだ入学式から2ヶ月もたっていない頃に、賃貸の一軒家の物件がでてきた。でてきてしまったのだ。しかも、これまた学校から徒歩5分の立地である。さすがに、妻には黙っていようかとも思ったが、六甲山の賃貸物件は次にいつでてくるか読めない。とはいえ、始まったばかりの新生活、二拠点生活に備えて家財もいくつか新調したばかりだし、リノベーションもした、お金もかかる、本当にこのタイミングなのか???と迷った。

6月にでてきた賃貸の一軒家は庭もあり、小学校へも徒歩5分、バス停も目の前で便利

迷ったら、面白いほうへ進むのだ。偶然にも山の賃貸物件と下に残した賃貸物件の家賃が同額だった。これはもう導かれている気がする。2階建ての青い壁の山小屋に僕らは引越を決めた。

後編 〜山の暮らしと働き方〜へ、つづく
(コラム執筆・写真=東善仁)

東善仁(ひがし・よしひと)
神戸を中心にまちに関わるプロジェクトに取り組む合同会社ユブネの共同代表。2025年より家族で六甲山町に引っ越した山暮らし初心者。