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世界を旅するノマドワーカーが見つけた、六甲山という「ちょうどいい距離感」

神戸の街から30分。ケーブルで六甲山へと向かえば、そこには都市の喧騒とは異なる静寂な世界が広がっています。六甲山は、海と街と山が近接する稀有な環境を持つ場所。今回は六甲山で11日間を過ごしたノマドワーカーのAkinaさんの声をお届けします。

2019年4月から片道切符で世界を巡り続け、すでに5周目を終えているというAkinaさん。コリビングスペースを拠点に、メキシコ、アムステルダム、バルセロナなど、地球規模で移動しながら仕事をする生活を送っています。そんな彼女が2025年11月10日から21日まで滞在したのが、六甲山のROKKONOMAD。福岡の海外デジタルノマド誘致プログラム「COLIVE FUKUOKA」でのプロジェクトを終えた後、瀬戸内の岡山を経由して訪れた神戸。世界中をめぐってきたAkinaさんにとって、初めての六甲山生活とは?

世界5周目と6周目のあいだの六甲山

こんにちは!Akinaです。私は2025年の時点で世界を5周しているノマドワーカーです。でも、これから始める2026年の旅は「世界6周目と呼ばない」ことにしたんです。例えばメキシコに半年ほど生活のベースを持って、キューバに行ってみたり、グアテマラに行ってみたりしながらも、基本はメキシコで「暮らす」スタイルにチャレンジしてみようかなと思っていています。何度も世界を回ると、旅の非日常感が、もはやすっかり日常になってしまったので、最近は旅や観光の目的から離れた「日常の暮らし」が恋しくなってきました。だから、海外の新しい場所に行くにしても、その場所での丁寧な「暮らし」をしてみようと。

そんな気持ちが高まっていたときに訪れた六甲山での滞在。まるで暮らすように比較的のんびりとゆったりと過ごしました。タイミングよく「神戸六甲ミーツ・アート」が開催中だったので、作品を観てまわったり、コテージで泊まって地元の野菜を使ってお料理をつくったり、気の向くままに山を散歩したり、少し仕事もしましたが本当にゆったりすることができました。特に天狗岩まで歩く散歩道が大好きになって滞在中に4回も歩きました。そんなに険しい道じゃないので、近所に散歩に出かける感覚でふらっと歩けるのがちょうどよかったですね。

天狗岩までスニーカーで行ける山道歩きがおすすめ
滞在期間中は、神戸六甲ミーツ・アートが開催され、色々な作品と出会い刺激を受けました。作品:「しらす、山に昇る」©️風の環

六甲山は、自分との対話に集中できる場所

仕事をする場所としての六甲山も面白いと思いました。国を超えて仕事をするノマドワーカーはオンラインミーティングをするにも時差があるので、ROKKONOMADのコワーキングスペースが24時間いつでも使えるっていうのはすごく助かりました。それに山の中で雑音がないので、集中して思考を巡らせて自分自身に深く話しかけることができていたので、それもすごく良かったです。無駄な情報がないし、入ってこない。街中では電車の車内広告だけでも情報過多になりませんか?六甲山にいると何もないからこそ不必要な情報が勝手に削ぎ落とされると思いました。私も絵を描いたり、頭に浮かんだことをジャーナリングしたり、来年どうしたいかなとか考えながら自己対話していました。 仕事や人生の計画を立てるには願ってもない場所かもしれないですね。

自分に集中する時間を与えてくれたコテージでの滞在
時間を気にせず、海外とのミーティングもできるノマド向きのコワーキングスペースでした
情報をシャットアウトした静寂のなか、聞こえてくるのは自分自身の心の声

「日常」のなかにある夜景や紅葉が、創作意欲を引き出してくれる

最近、水彩画を描くようになったんですけど、忙しいとついつい後回しにしてしまっていました。それが六甲山に来てずっと描きたかったものを描くことができたんです。美しい紅葉や夜景がわざわざ見に行こうと思わなくても目の前にあって、朝起きても夜寝る前もコワーキングスペースで仕事中にも、常に目の前にあることが作品づくりにインスピレーションを与えてくれました。

紅葉のなかで毎日を暮らす感覚が贅沢な秋の六甲山

以前にバルセロナに滞在したときの部屋がルーフトップからサグラダファミリアが見える部屋で、特別な場所が日々のなかにあることがすごく贅沢だなと思っていたんですけど、六甲山の滞在もその感覚と似ていると思いました。夜景や紅葉が、常に日々の中にある感覚です。その感覚が創作意欲を引き出してくれます。空き時間にはROKKONOMADのハウスアーティストのロク・ヤンセンさんが改装したアトリエを案内してもらいました。森の中の古い平屋をリノベーションしたアトリエで、正に日常の風景が贅沢なものづくりをする人にはとっても魅力的な空間でした。

普段とは違う場所にいると、アイデアの幅も広がります
六甲山滞在中に紅葉からインスピレーションを受けて描いた水彩画

山で出会う人はストーリーとエネルギーにあふれている

ここまで場所としての魅力について話してきましたが、もう1つ私が世界中をノマドワーカーで巡るときに大切にしたいのが、その国で土地で、どういった人に会いたいか?どんなコミュニティがあって、どんな人と対話することができるか?という点です。コリビングスペースのような場所にも、もちろん面白い出会いがあります。ただ、中南米に行ってもコリビングスペースの利用者の多くは欧米の人なんです。そうするとローカルの人と過ごす機会がすごく少なくなってしまい、結局その国の人と出会えず、なんてことも。ホステルに泊まる場合も、今度は 二、三日で移動される観光客も多いので、毎朝毎朝会った人に自己紹介を繰り返していて関係性が全く持続的じゃないんです。やっぱり中長期で滞在している人や、ローカルに根ざして面白いことをしている人のところに滞在するほうが心地よく過ごせるなと思います。

クリエイターや研究者など、ROKKONOMADの滞在は「出会い」も楽しみのひとつ

六甲山に住んでいる人や、ROKKONOMADのコワーキングスペ−スを借りている人は、働き方も暮らしに対する価値観も面白い人が多いと思います。完全なる山暮らしだと自信はないけれども、何かあった時にすぐ都市に降りられる距離感なら、山暮らしを楽しめるといった人が多いと聞きました。だから出会う方がアウトドア界隈に偏っていないのがいいところ。短い滞在期間でしたが出会った人はみなさんユニークな方で、属性もいろいろ。研究者だったり、靴型職人だったり、デザイナーだったり、山の大工だったり、月1回だけROKKONOMADに登ってくる会社員だったり。わざわざ山に登ってくるだけあって、それぞれに山に集まる理由のストーリーとエネルギーがあるなって思います!

今度は作品づくりのために長期滞在したいですね

好きな場所に好きなだけとどまれる、という幸せ

ノマドワーカーでのアイデンティティーを確立すると、常に「Akinaさん、次はどこに行くのですか?」といった質問を受けます。そのときに「特に決めていません」とか「東京にいます」と言うとがっかりされて、急に私は何の意味もない人のように見られることがあります。でも、ノマドワーカーの生き方は、旅することではなく、好きなときに好きなところにいられることが最大の価値だと思っています。自分がとどまりたいと思ったところに、好きなだけ留まれるっていうのも幸せだと思うのです。

最初に「地球6周目と言わない」とお伝えしました。常に動き続けることだけじゃなくて、いいと思ったところに長く滞在することは、自分の中でのやってみたいことのひとつです。今はまだわかりませんが、いずれ私も「定住」する日が来るのかも知れません。非日常から日常に戻る過程の一つに暮らしのベースを持つことがあるのかなと思っています。

滞在中には、六甲山のマンションや山荘などの物件のお話を聞いたり見学したりできました。そこから思うことは、夏だけ山で暮らすという発想もあるし、山の家と都市の家の二拠点を使い分ける暮らし方もできるということ。ノマドワーカーでなくても「自分がとどまりたいと思ったところに好きなだけとどまれる」暮らし方を叶えられる、そんな、ちょうどいい「距離感」の山が六甲山だと思います。

自分の暮らしの選択を、自分で決めていくことの幸せを大切に旅を続けます。

再会のときまで、Have a Nice Trip !!

完全な自然でもなく、完全な都市でもない。その中間にある「ちょうどいい距離感」。何かあればすぐに街に降りられる安心感を持ちながら、自然の中で静かに過ごせる環境は、世界を旅してきたAkinaさんにも新鮮な体験だったようです。

情報がそぎ落とされ、自分との対話が深まる。創作意欲が自然と湧いてくる。特別な景色が日常にある贅沢。個性的な人々が集まる小さなコミュニティ。これらすべてが、六甲山という場所の魅力です。

次に訪れる時には、もっと長期で滞在して、自分のアート作品を作ってみたいそうです。四季折々の表情を見せる六甲山。夏の涼しさ、秋の紅葉、冬の静寂、春の芽吹き。それぞれの季節が、また違ったインスピレーションを与えてくれることでしょう。

その再会のときまで、Have a Nice Trip !!

Akina
デジタルノマドワーカー
株式会社CoCo代表取締役。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、英語教育・出版事業に携わる。「人生は一度きり」という想いから、父と世界一周の旅に出る。2026年時点で世界を5周。Nomad Universityの創設者、Colive Fukuokaの共同創設者。2024年、世界中から約200名のノマドがエントリーするアワードで、「デジタルノマド新人王」。
Facebook : Akina Shu
Instagram : nomad_university